看護学校へ行こう
卒業
 冬休みも終わり、いよいよ私たちは看護婦国家試験、略して国試に向けて、勉強を本格的に開始した。しかし冬休み明けから本格的に国試の勉強を始めるのは、遅いのである。国試の勉強は、過去問題集が本屋に売っているから、それをやる。と言ってもこの問題集、広辞苑ほどの分厚さである。これを3回やれば、合格間違いなしと言われている。すっぽんは既に冬休み中、一通り2回を終わらせていた。さすがかしこいすっぽんだけあって、勉強好きだ。私など補習実習のレポートに追われ、国試の勉強はほとんどしていないから、これからしなければいけない。もちろんまだ実習もある。国試は3月だ。あと2ヶ月しかない。すっぽんはあと一回問題集をやればいいから、早寝をしていた。だが私は、毎日オールナイトニッポンを、2部まで聞く羽目になる。結局国試までになんとか2回、問題集を一通りやった。若干不安はあったが、まあ仕方がない。

 国試は札幌で行われる。だからみんなで試験会場の近くのビジネスホテルに泊まった。引率の担任のきみよ先生と、わいわいと旅行気分で旅立った。ビジネスホテルに着くと、明日の最終チェックでも・・・いまさらするはずがない。みんなで旅行など、久しぶりだ。部屋は全員二人部屋だが、みんなで小崎の部屋へ行くことにした。目的は「エロビデオ鑑賞」である。小崎の部屋をチョイスしたのは、エロビデオは有料で、翌朝フロントで精算されるしくみになっているからだ。エロビデオを見たことがフロントにばれるのが恥ずかしくて、みんなで小崎に責任をなすりつけようと企んだのである。小崎は、

「いやだあ、辞めてよ。」

と言ったが、無視して有料チャンネルに切り替え、10人くらいでエロビデオ鑑賞会を始めた。
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