蜜事中の愛してるなんて信じない
「もしかしたら、落ちないかもしれないね。だってあれ――」私は、巨大な地球儀を指差す。「あれ見てたら、ここ、宇宙みたいなかんじがするもん」

 スロープの途中に備え付けてある液晶パネルをいじっていた正志が、訝しげな表情で私を見た。まばたきを二回、三回。

「お前、頭大丈夫か?」

「何よ、その言い草は! そう思ったんだからしょうがないでしょ」

「そう思ったこと自体に危機感を持った方がいいだろ」

「もっとさ、こう、『そうかもね』みたいな、同調してくれてもいいんじゃないの?
思いやりとして!」

「その相談は受けかねる。人として」

「キイィィ!! そんなこと言うと、走っちゃうわよ!
ダッシュキメちゃうわよ!!
アンタなんかみちづれよ!」

「うっせえな。走りたきゃ走れ」

「走らない!!」

「だったら大人しくしてろ、ガキが」

「ガキじゃない!」

「あ、お前、ジュース飲むか?」

 正志は、スロープの途中に突然出現した小部屋を指差した。
 中を覗くと、自動販売機が並んでいて、購入した飲み物が飲めるようにか、小さなテーブルがいくつか設置してある。

 ちょっとした、ゆとり空間に何故か胸が躍る。

 そういえば、喉、渇いてるし。

「飲む、飲む!!」

 思わず弾んだ声が出てしまった。

「ぷ。やっぱガキ」

 
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