かけがえのない唄

「……何?」



カラオケに入ったあたし達は、向かい合わせになり、あたしは圭織にそう問うた。




意味が分からない、と一言付け加えて。





圭織も落ち着いたのか、いつものテンションに戻っていて、落ち着いていた。





「Moon Lightって騒いでたあたしをバカにしてたんでしょう?」







絶句だった。




圭織が怒ってた理由が純だったなんて。




思いつきもしなかったし思い浮かびすらしなかった。





大きく深呼吸して、あたしは言うより早いと思って、あれからずっと持ち歩いていたシークレット特典付きのCDとあの指輪をことんと圭織の前に置いた。





「純の事務所から付き合いを認めてもらう代わりにあたしは一切周りに言わないというのが約束だった。シークレット特典の写真は高2の時の」




CDを開いて写真のコピーを見せる。




「こっちがあたし。でこの子は続いている健ちゃんの彼女」




圭織はあたしが喋るのをただ黙って聞いていた。
それを確認するとあたしは話を進める。




「純とは幼なじみで、メジャーデビューする前から付き合ってた。高1の時からだからもう5年になる」




あたしは黙って圭織の顔をみた。




無表情で
物凄く怖かった。




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