かけがえのない唄
「あ、もしかして、妃菜、ヤキモチ?」




ニタリ、と笑う純。




「ち、違うもん!」




真っ赤になって必死に否定するから、絶対バレてる。純の顔がニタニタしているし。




「俺は嬉しいけどね?妃菜がヤキモチ妬いてくれるのは」




そう囁く純の言葉にあたしは何も言えずに黙って俯いた。





「妃菜?ごめんな」




突然の言葉。




「え?」



後ろには知っている温もり。




「寂しい思いばっかさせてごめんな」




その純の言葉と共にぎゅっと抱きしめられた。




「ファンは『ジュン』だけどあたしは『純』だから、それだけでいいよ」



精一杯の強がり。
本当は胸がぎゅーとなるぐらい辛いけど。




純の側にいたいから。




「妃菜、ありがと」




純はあたしの気持ちに気づいてるのかもしれないな、と思った。






でもやっぱり。




純はあたしの彼氏だから。




あたし以外の子に優しくしないで、って思うんだ。





仕事だって分かってるし
ファンサービスしなきゃいけないってことも分かってる。




でも。
でも。
でも。






独り占めしたいって思うんだ。






そんなあたしは、ダメですか?





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