かけがえのない唄
物凄い喜びようの圭織をみていると、胸がちくり、と傷んだ。



ごめんね
ごめんね
嘘ばっかいって




でも純と付き合ってる、なんてやっぱり圭織に言うことなんてできず、嘘をつく



嘘に嘘を固めて。





「じゃあ、お礼に今日のライブのチケット二枚あるからつれてったげるよー」




「彼氏と行くんでしょ?それにあたし、そのライブ友達に誘われて行くから」




「え、妃菜もいくの!?」



驚くのも無理はない。
だってあたしはMoon Lightに興味をもってない素振りをしていたから。




「高校の時からの友達が、熱狂的なファンで。で無理矢理ね」




また、嘘登場。




もう、嘘をつくの、疲れたよ。




「へぇーじゃあ、あたしは予定通り彼氏といくよ」




「デートだねー楽しんでおいで」




「妃菜、おばさんみたい」



なんて、笑われた。




「独り者は独り者同士でいってくるから。あ、待ち合わせあるし、行くね」




待ち合わせあるのは本当だったけど、これ以上圭織としゃべっていたらボロが出そうだったから、その場から逃げた。




「バイバイ」




と手を振りあって、あたしは待ち合わせ場所へと急いだ。




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