テクノケイション
彼女の一部が全身を這う。

音は止まない。

柔らかさの中心に勤しむ硬さ。

点滅する光。

仰け反る程の温かさと拘束感。

ループする電子音、サラウンドに駆け抜けては脳の内側に快感を打ち込む。小刻みに不規則多方向、蜂の大群に恐われた様な刺激。

繰り返される密着摩擦、耳元の悲鳴は次第に木霊し、揺れる曲線は限界を隠せず折り重なっては弱々しく再始動する。

同時にやってくるそれはやがて一つへ集約され、打点高らかに直線的な放物線を描いた。






事が終わり、彼女は消え、適度な光量の下でキーボードを叩いた。

< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop