青春の蒼いカケラ
入院爆発編
入院先を青森の伯母さんと伯父さんに知らせてくれたおかげで、車ですっ飛んできた。パジャマから風呂道具まで、そろえてくれた。
「大丈夫か」
と何度も聞かれたのだが、返事する場合ではなかった。もう幻聴がビンビンはいってきてた。伯母さんと伯父さんは半日で帰った。毎日起きるたびに注射だった、そしてまたすぐ寝た。その繰り返しだった。一週間ぐらいして、まともな食事が出来るようになった。美味しかった。先生の回診があった。
「どうだね井上君」
「はぁ何とか」わけのわからないことを言った。
なおとは両親もいないので、すぐに福祉になった。母は高校卒業する間、すでにガンで亡くなった。父は車の廃棄ガス自殺してしまった。
幻聴もとれてきた。タバコは一日一箱と決められていた。お菓子も配られてた。飲み物は水で溶かす煎茶とかココアだった。砂糖は一袋五週間に一度だった。風呂の入浴日は、火曜日と金曜日、床屋は月一回、ガチガチの五階の閉鎖病棟だった。タバコを吸う時間まで決められていた。なおとはとんでもないところへきてしまったなって、頭を抱えてた。病棟の人たちは皆良い人で、すぐに、友達もできた。なおとはおとなしくしてた。

先生との診断があった。
「どうだね、具合のほうは」
「何か、考えている事が人に伝わるみたいなんですよ、テレパシー?」
「う~ん、薬を飲んでればなおるから、心配するな」
診察は終わった。TVは2台あり食事も美味いし、風呂も気に入ったし、お菓子も出るし、タバコも吸えるし、まるで天国にいるような錯覚に陥った。隣のベッドのひぐちさんは、良くしてくれた。ひぐちさんは一日一箱も吸わないで一週間に三箱あまらしていた。なおとは一日一箱ではたりないので、なおとのお菓子三袋と交換してた。砂糖もバイしてた。
「なおと君、なれたかね」ひぐちさんが言った
「はぁ何とか、皆おとなしい人たちなんですね」
すっかり元気になったなおとが言った。どうやら、ひぐちさんがボスらしい。皆お菓子を持って来る。ひぐちさんはお湯係もしてた。夜六時になると炊飯室で、やかんでお湯を作る。炊飯室の前にはカップラーメンがならべてある。各自おのおのだ。そこにひぐちさんがやかんで、お湯を入れる。




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