放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
ガッデム!
ブコビッチ三世と、8本の手を持つ主任め。

俺のことを勝手に“マイキー・バイオレッド”と名付けて、思いつきの実験をしやがって。
これじゃ、まるで“動物奇想天外”みたいじゃないか。

どうしよう、とりあえず明日、数学のデベッタ(佐藤先生)に相談してみるか。

「先生、宇宙人のブコビッチ三世が俺のことをマイキー・バイオレッドって呼んで、チョリソーって単語をあびせる実験をしてくるんですよ」

…。

だめだな、デベッタじゃ。
「すいません、それは教科書の何ページに書いてある問題についての質問でしょうか?」
とか言いそうだもんな。

あっ、古典の美智子先生に聞いてみるか。
「美智子先生、あの、俺…」

…。

わかってるよ…。

いないいない!

はいはい、宇宙人なんていないし、ブコビッチ三世も、8本の手を持つ主任もいないよ。

こんな話を真顔で人に喋ったら、すぐにお薬飲まされます。

なんかさ、亜希は感じてくれないしさ、熊田先輩は許してくれないしさ、最後の大会は近いしさ、うまくいかないことや不安が大きくてさ。

いいじゃん別に。

風呂に入って1人でいる時くらい、馬鹿馬鹿しいこと考えたって。

…。

そういや、地理の時間も、みんながいるのに馬鹿馬鹿しいこと考えてたな…。

気を付けよう、俺は気を抜くと馬鹿馬鹿しいことを考えてしまうみたいだ。

はぁ…。

落ち込んでうなだれる俺。

うつむきながらお湯を見つめる…。


…!?

そうかもしれない…。


俺、なんで亜希が感じないかわかったかも…。
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