【長編】私の道
「はっ?いつのまに?」
ソラは、吃驚したように聞き返した。
他のみんなは、開いた口が塞がらないみたいだ。
「はっきりは、言ってないですよ。けど、未來ちゃんは好きな奴いるから.....」
カイは、照れながら言った。
「カイは、誰か知ってんだ。」
真人は、楽しそうに聞いた。
「はい。相思相愛ですよ。」
「えっ?誰だよ。」
ユウが驚いたように聞いてきた。
カイの言葉でみんな気づいたと思ったが.....
当の本人は気づいてないようだ。
カイが言った相思相愛は、未來とユウの事だった。
カイは、いち早く気づきながらも言えなかった。
わかっていながらも、未来に惹かれてる自分がいたからだ。
「ユウって、意外に鈍いんだな。」
ソラは、ユウを小馬鹿にした。
「はっ?みんなわかったのかよ。」
ユウは、つまらなさそうに拗ねた。
「悠斗、一歩の勇気だ。」
真人がユウに声援を送った。
人に教えて貰う事じゃないから。
ユウ本人が未來に確かめるべき事だから。
けど、ユウには勇気が持てなかった。
一瞬でも未來を疑ってしまった罪悪感。
カイのように、疑わずに庇えなかった。
悔しかったのだ。
一瞬、絶望の眼差しを向けられた気がしたから。
終わったって思ってしまった。
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