ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
そんなある日。
劇団の練習に出ていた私は、休憩時間に突然ガンさんに呼び出された。
トモシと会わなくなった私は、最近は劇団の練習に休まず参加するようになっていた。
なのにいきなり話があるなんてなんだろうとドキドキしていたら、
ガンさんは不気味な笑顔を見せて言った。
「お前、次回公演の台本はもう読んだか?」
「あ…、はい、まだ途中までですけど…」
「そっか…。実は今その配役を考えてるんだけど、マユコ、ラブシーンとかあっても大丈夫?」
「え…?」
ガンさんの言葉に、心臓が早く動き始めた。
劇団の次回公演には、ガンさんの友達が書いたという芝居をやることになっている。
私はその脚本にまだ半分くらいしか目を通していなかったけど、
男女数人のワケアリ的な恋愛模様を、恋愛マニュアルを織り交ぜながら追っていくというストーリーで、
ラブシーンと言うか、男女が抱擁し合う場面があるのは聞いていた。