ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「…すみません」
私が頭を下げると、彼女は
「クリーニングが済んだら連絡しますので、連絡先を教えてください」
そう言って、紙とボールペンをよこした。
名前と電話番号を書きながら再度「すみません」と言うと、
「いえ、こちらこそお客様が来て下さって嬉しいです」
と彼女は笑った。
「私は専業主婦なんですけど、うちは主人が仕事でほとんど家にいないので、もう母子家庭みたいなものなんです…。働いてないとどうしても社会から切り離されてる感じがあるから、こうして誰かとお話できるのは、すごく嬉しいし刺激にもなるんです」
「そうですか…」
「はい」
私が相槌を打つと、彼女は堰を切ったようにべちゃくちゃしゃべり始めた。