ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
EPISODE#10
今度こそ私はウシオから身を引く覚悟を決めた。
別にサキさんのお父さんに頼まれたからじゃない。
サキさんに情けをかけてやるわけでもないけど、
もともとウシオにはどこか信じられない面があったし、
トモシとの再会でとうとう目が覚めたというか、
なんだか男という生き物が急にどうでもよくなってきた。
それをウシオに告げると、
彼は「そんなの納得できない、必ずサキとは別れるから」といつもの調子で私の心を引きとめようとした。
けど、今まで散々ウシオの虚言に傷つけられてきたのだ。
私だって何度も騙されるほどバカじゃない。
その後私はウシオからの連絡を全て無視した。
そして芝居の稽古時以外、彼とは口も聞かなくなっていた。