ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜

突然の出来事に驚いたけど、


こんな指輪をもらったのは初めてだった。



嬉しくてやっぱり涙が出る。




ウシオは私のことをこんなに考えてくれてたんだと思うと、急に胸がいっぱいになった。




「ねえ、指輪、はめてみたら…?」




ガンさんの友達に促され、私はそれを左手薬指にはめてみた。




…が、指輪は小さくて私の指には入らなかった。




「あは…。ウシオくん、たぶんサイズ間違えちゃったんだね…」




ガンさんの友達は苦笑いして、再びテレビの前に腰掛けた。




「こういうのってよくドラマとかで見るけど、こういうドジを踏む人ってホントにいるんだねー」




そう言いながらテレビに向かう彼女をよそに、


私は劇の台本を取り出すと、


ページをめくってウシオとのラストシーンを確認した。






“トーコ”のセリフを見直してみる。




でも、それは私がウシオに言いたい言葉じゃなかった。




“アイダ”のセリフはウシオの気持ちと同じかもしれないけど、


私のセリフは全然うよ…。
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