ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
EPISODE#12
ウシオのモノローグが終わると舞台は暗転し、
再び点いたライトの下、
役者は全員ステージに立って、客席からの拍手を浴びた。
その後みんなはロビーに客出しに行ったけど、
私は客席にいたであろうサキさんと顔を合わせるのが怖くて、
そのままひとり楽屋へと戻った。
楽屋に入るとすぐ、手紙と指輪の入った紙袋が目に入った。
それを手に取ると、さっき舞台で見たウシオの笑顔が目に浮かんで、また泣きそうになった。
好きな人が婚約指輪をくれたというのに、どうして彼と一緒になることができないんだろう…。
どう考えても自分で蒔いた種、
彼に恋するタイミングを誤ったために生まれた惨事だった。