ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
稽古が始まる。
いつものようにエチュードをして、次回公演の台本を持ち寄り輪になると、
ガンさんが、
「次回公演の配役を発表するぞ」
と言い出した。
十数人の団員がざわつく中、
ガンさんは主役から続々とキャスト発表をしていった。
最初の方でウシオの名前が呼ばれたのには気付いたけれど、
私は自分の名前が出てくるまで気が気でなかった。
そして、
最後の最後で超端役として名前を呼ばれ、
「マユコにはプロンプと小道具係なんかもやってもらうから」
と言われたときには、どうしようかと思った。
今度の演目は私も大好きな作品で、私的にはできれば大きな役をやりたいと思っていたからで…。
休憩時間になぜ私がこの役なのかとガンさんに聞いたら、
「だってマユコ、最近稽古休むこと多いだろ?」
そうはっきり言われた。
…それは図星だったけど、
「それにもうヒロインって年でもないだろ?」
そう笑われたときには、ガンさんをなぐってやりたい衝動に駆られた。