ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
ウシオのその言葉で、私は初めて彼とふたりで出かけることになった。
明日のことを考えると早く帰りたい気もしたけど、
家でひとり落ちてるよりは、ぱーっと気分転換するのもいいかなと思ったわけで…。
私達はジャージ姿のまま、稽古場近くの安い居酒屋へ入った。
案内されたテーブルにウシオと向かい合って座ると、
彼は店員に「とりあえず生ふたつ」と言って、
私に「今日はおごってやるからなんでも好きなの頼めよ」とメニューを渡してくれた。
「あんたに任せるよ」と言ったら、結局ウシオが脂っこいものばかり適当に注文することになったんだけどね…。
ジョッキが運ばれてくると、ウシオがそれを手に取り言った。
「それじゃあ乾杯しますか…!」
「は…?一体何に乾杯するっていうの…?」
私がふくれると、
ウシオは笑顔で言った。
「決まってるだろ…?俺達の初デートにだよ」
「はぁ…?」
私は思わず彼におてふきを投げていた。