ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
やることが済めば、
彼はしあわせの余韻に浸ることもせず、
私をベッドに残したままバスルームに直行し、時間をかけてシャワーを浴びる。
まるで私と抱き合ったアトを完全に消し去るかのように。
身支度を整え出てきた彼に聞く。
「夕ご飯作るけど食べてく?」
けれどトモシはきまって首を横に振り、「またな」とだけ言って玄関に向かう。
私は彼を見送ることもせず、ベッドの中からバタンとドアが閉まる音を聞く。
帰らないで…。
そんな言葉が喉まで出かかる。
…でもそんなこと、
絶対言えないから。
言っちゃダメだってわかってるから。
私達のつかの間のデートはいつもこんなふうに終わる。