ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜

トモシは市の消防署の職員で、


私は小学校の教師をしている。




私達は私が担当学年を消防署見学に連れて行ったときに出会った。






打ち合わせで消防署を訪れたときから、トモシは明るくさわやかな笑顔で対応してくれて、


見学当日には児童にジュースをおごってくれたり、


署内を丁寧に案内してくれたりして、




固い肩書を感じさせない彼に、


私はすぐ好印象を抱いた。






教師の仕事は忙しい。


仕事は独身教諭に山ほどまわってきて、帰宅するのは毎晩10時を過ぎている。


異性との出会いなんてほとんどない。


いいなと思う同僚は、だいたいもう結婚してたり、付き合ってる人がいたりする。




私は地元のアマチュア劇団に入り、土日を使って趣味で芝居をしているけど、


劇団の男達も既婚者か彼女持ちか問題外ばかりで、


恋人探しの場所にはならなかった。








…言ってみればトモシは、


そんな男日照りの私の心に颯爽と吹いた、


気持ちのいい風のようなものだった。
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