ハイスクールラブ
「どんな人だったか教えてほしいの」

自分でも無謀なことをしていると思っていた。それでも2、3発殴られる覚悟で尋ねた。

「誰に何を聞いたのか知らないけど、あなたに話すことなんて何もないわ」

そう言って顔を背け歩き出した。

「今のままじゃ、藤くんがダメになっちゃう！」

真奈美は思わずくみこの背中に向かって叫んだ。
その言葉に反応してくみこが振り向く。

「いい加減にして・・・！じゃあ、何？あなたに何かできるっていうの？」
「わからない。でも、とにかく今のままじゃ・・・」

くみこの平手が真奈美の左頬に飛んだ。
視界がサッと動き、頬が徐々に痛くなる。
真奈美は顔をしかめた。

「あなたに・・・何ができるっていうの？」

くみこはもう一度言った。今度はその美しい顔を今にも泣きそうに歪めて。

「くみこ。あんたがいつまでもそんな風だから、藤くんは前に進めない。あんたが背中を押してやんなきゃいけないんじゃないの！？」

真奈美がそう言った瞬間だった。くみこが手に持っていた楽器のケースが空を舞ったかと思うと、真奈美の頭に直撃した。

真奈美は勢いで倒れ込んだ。

「い・・・っつぅ・・・！」
「それ以上言ったら、殺すわ」

くみこはものすごい形相でそう言うと、振り返ることなく去っていった。
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表紙・目次

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