ハイスクールラブ
門の前まで来ると、男性が真奈美をじっと見つめて言った。

「君は・・・うちの娘につきまとっているというのは本当かい?」

ひげを生やした男性は、くみこの父だった。スーツを着ていて、背が高い。体つきもがっしりとしていて、アメリカのホームドラマに出てくる父親みたいだ。

「何が目的なんだい?くみこは困っているんだ。これ以上続くようならご両親や先生に話すことになる。もうやめてくれるね?」

口調は優しかったが、表情は明らかに真奈美を拒絶していた。
くみこは黙って真奈美を睨んでいた。

様子を伺いにくみこの母も家から出てきた。

真奈美はゴクと喉を鳴らした。
ここで怯んで帰るわけにはいかない。

「・・・私、春人さんのことが知りたいんです」

真奈美は思い切ってくみこの父に向かって言った。
くみこの父は春人の名前が出てくると思わなかったのか、驚いた表情を隠さなかった。

「パパ!この人おかしいのよ。何するかわかったものじゃないわ。警察を呼んで!」

くみこが父の腕を掴んで声を上げた。
くみこの父はそれを無視して真奈美に向かって口を開いた。

「春人のことが知りたい・・・?君は春人の友達か?」

真奈美は首を横に振った。

「違います。でも、春人さんのことで苦しんでいる人がいます。その人を救いたくて、何かしたくて来ました。話を聞くまで帰りません」
「あなた、まだそんなこと言って・・・」

くみこの体がわなわなと震える。


くみこの父はそんなくみこを制して、真奈美に向かってはっきりと言った。

「私たちは君の気まぐれに付き合えるほどに、息子の死から立ち直ってはいないのだよ。そっとしておいてくれ」

表情は明らかに怒りを帯びている。
真奈美は何も言えず、動けなかった。
< 51 / 74 >

この作品をシェア

pagetop