ハイスクールラブ
紘季の部屋はマンションの1階の角部屋だった。

「どーぞ」

いよいよ紘季の部屋に入る。
真奈美はここに来てようやくとんでもないことをしようとしているのではないかと
実感し始めた。

紘季をこっそり見る。優しい表情。なんとなく安心した。

1Kの綺麗な部屋。紘季は部屋の電気は付けず、スタンドの明かりだけ付けた。
冷蔵庫からスタウトの瓶を取り出し開けて手渡してくれた。

真奈美はありがとうと言って受け取った。

(苦~~)

「実家?」

紘季も自分の分を開けて尋ね、ソファに座った。

真奈美は咄嗟に嘘をついた。

「・・・違う。1人暮らし。」

それなら大丈夫か、と紘季は笑った。
朝帰りでも大丈夫かということだとわかったが、実際は真奈美は実家だったし、誰か家族に連絡しないといけないと慌てた。

「あ・・・でも、さっき一緒にいた友達にメールだけでもしようかな~と!」

そう言って携帯を取り出した。
姉に、友人の家に泊まるとメールした。
紘季はソファの端の大きなクッションに身を沈め、タバコを吸っていた。
心ここにあらずといった表情。眠たそうにも見える。

メールを送信し終わり、パチンと携帯を閉じた。
その音で真奈美の方に目線を向ける。

クスリと笑った。

「まだそんなのかけてんの」

真奈美のサングラスをはずす。

「こんなのかけない方がいい。ついでに化粧もしない方がいい。」

そう言って真奈美を引き寄せ軽くキスした。

「・・・名前・・・は?」

真奈美はあえて名前を聞いた。

「紘季」

紘季は全てにおいて慣れているようだった。こうやって何人もの女の子を連れ込んでいるに違いなかった。

(教師のくせに・・・)
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