僕の中の十字架



―――
――――――
―――――――――



「おっそいなー」


「うん」



ぼくは三階の廊下の手摺を掴み、景色を眺めていた。
サエはドアの右側の壁に寄りかかって座っている。


昼を少し過ぎた時間帯。マンションに面している道路は、そこそこ車が多かった。


デリカシー皆無な警官二人が中に(勝手に)入って行って十分は経つ。

一体何をしているんだ。
空き巣か?



そしてなにより、



「……………」


「……………」



なんすかこの沈黙は。

今日のサエの様子はおかしい。

「さびしくにゃーい」とか「一人にするなー」とかめちゃめちゃな事言ったりね。


そして今度はだんまりですか。

何時もは時々ウザッと思う位喋るのに。
さっきは元気だったのに。

もう解らない、何を考えているんだろう?

振り返って、ショックを受けた。

< 80 / 133 >

この作品をシェア

pagetop