子猫からの贈り物
子猫の顔はとても悲しそうに見えた。


「どうしたんだよポチ子。お前がそんなことするなんて珍しいな」


お尻をパンパンと叩きながら太郎くん。

「‥‥その子猫のことが気になるのか」


そうだよ太郎くん。

さすが太郎君。

わたしの気持ちを分かってくれる人は太郎くんただ一人。

わたしはそう信じてるの。

「あのな‥‥」

太郎くんはわたしの前にしゃがみこみ、目と目がぶつかり合った。


目の前に太郎くんの顔がある、
反射的にわたしはペロリと太郎くんの頬を舐めた。


「なめちゃダメ!」

ちぇっ。

「いいかいポチ子。ぼくもこの子猫のことはとっても気になる。
それは一緒だよ。 でもね、何でも思い通りにはいくもんじゃないんだ。
わかるかい?」



‥‥むずかしいお話。

自然とふぁーっと生あくび。



「分かるわけないか。まぁ、いい。子猫のことは諦めて帰るんだ」


ぐいっと首輪につながる鎖を引っ張る太郎くん。



 いやだ。

< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop