壊れたこころ
僕には六つはなれた弟がいる。弟は病弱で病院に入退院を繰り返していた。だから母親はいつも弟につきっきりだった。そして弟とは血がつながっていなかった。そう、母親は義理の母だった。
僕の母親は僕が、三つのときに海に波にさらわれて命を奪われた。僕を助けたために。
父は助かった僕をやさしく抱きしめてくれた。でも時々悲しい顔をする。だから僕は、父に嫌われないように良い子のフリをした。
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