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・記憶
あの日は俺達に取っては色んな意味でかなりヘヴィーだった。
俺とアレジは家が隣同士な事もあって結構幼い時から面識があり、父親を早くに亡くし母親と二人で暮らしていた俺にアレジの両親は優しかった。
俺の家庭環境は凄まじく終わっていたのでよくアレジの家に入り浸っていた。
今考えたらあの頃から俺って図々しかったんだな。
多分アレジもなんだコイツって思ってたに違いねぇ。
まぁ直ぐに意気投合して仲良くなったから関係無ぇけど。
15、6になる頃には俺達はちょっとした有名人だった。
…特にアレジの奴が。
知ってる限り俺達に強さで勝てる奴は居なかったから調子に乗ってたんだろうなきっと。
今は俺の方が悪たれみたいな事になっているがとんでもねぇ…
アレジを近所で知らない女は居なかった。
俺のような男臭い奴よりもアレジのような作りモンみてぇな顔の方が女共にはお気に召すようで、アレジはアレジでそんな女共を軽蔑してたらしくヤっては捨てるという動作をひたすら繰り返していた。
勿論俺はおこぼれが回ってくるので不満なんて有りようがない。
でもそんなアレジに好きな女が出来た。
今思えばこの時が俺達の人生の別れ道だったんだな。
その女は特別可愛いとか美人って訳では無かったが頭が良く俺やアレジが嫌がるような事を一切言わない女だった。
その女と付き合いだしてからはアレジは人が変わったように温厚になった。
俺はそう感じた事はないが他の奴らはアレジを血も涙も無い男だと思っていたみてぇで目ん玉が飛び出ていた。
これはまぁアレジの日頃の行いのせいだろう。
予想を反して二人の関係は3ヶ月続き、その頃には俺はアレジの家に住み込むようになり朝帰りばかりするアレジの変わりによくアレジの両親の息子役を演じる事を楽しんでいた。