あなたが一番欲しかった言葉
それは、ホテル1階の駐車場に辿り着き、車に乗り込もうとした瞬間だった。


「エミ!おまえ何してんだよ!」

男の怒鳴り声。

大声は、がらんとする駐車場に響き渡った。

エミさんも俺も驚いて振り向いた。

「あっ!」

エミさんは両手で口を押さえ、驚愕の表情でいる。

「どうして!?どうしてここに!?」

俺は直感した。分かってはいたが聞かずに入られなかった。

「エミさん・・・誰・・・?」

「・・・旦那」

男性は顔を真っ赤にさせ、全身で怒りを表現しながら、歩み寄ってきた。

恐れていた日がとうとう来てしまったのだ。
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