あなたが一番欲しかった言葉
顔中あざだらけで「JUNCTION」に現れた俺を見て、店長は驚き、原因を問い詰めてきた。

だがエミさんとの関係を店では隠していたために、真相を話すわけにはいかなかった。

「たいしたことないです。たいしたことないんです、ほんとに」

繰り返し弁明したが、店長はいぶかしそうな顔をしている。

まだ何か言いたげな店長を残して、控え室を後にした。



ヨシキと真梨子も同様に驚いていた。

それはそうだろう。

左右のまぶたは腫れ上がり、頬も唇の端も紫に変色しているのだから。
これでも4日前に比べれば、だいぶ腫れは引いたほうだ。

その夜の閉店後、店に誰もいなくなったのを待って、ヨシキと真梨子にはすべてを話した。
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