あなたが一番欲しかった言葉
「それから、完成の祝杯をあげようということになり、コンビニでビールを買い込んで・・・」

「もう何も言わなくていい!何も言わないでくれ」

その先を聞きたくなくて、僕は声を荒げた。

2人に体の関係があったか無かったのか・・・真実を知ったところで、もう元には戻れない。

「夫婦ってのはさ、欠けても、ひびが入っても、何とかやっていける。だけど、粉々に砕けてしまったらもう終わりなんだ」

店の常連客だった結城さんのいつかの言葉が、脳裏をかすめる。

僕と真梨子は夫婦ではなかったけれど、心情は同じ。

2人の関係は粉々に砕けてしまったのだ。
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