あなたが一番欲しかった言葉
「ヨシ君・・・」

真梨子・・・
十数年振りに僕の名を呼ぶ声に、懐かしさを覚えた。




「良かった・・・無事に生むことができたんだな。
あの事故の時、医師から『将来、子供が生めないかもしれない』って言われてたから」

「うん、すごい難産だったけどね」

肩まで伸びた髪を、耳にかけながら真梨子が言う。

以前はかけてなかった眼鏡をかけていた。

「君も毎年ここに来ていたんだね」

真梨子は首を振った。

「違うの。こっちに帰ってきたのは半年前・・・」
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