あなたが一番欲しかった言葉
爆音がとどろいて、肩をすくませながら上空を見上げた。

離陸した米軍機が警告等を点滅させながら、頭上を移動していく。

上空を横切っていく巨大な翼がぼやけた。

僕は目をこする。


・・・涙?


涙を堪えるな。
泣きたい時は思う存分泣けばいい。

胸の中のイサムが囁く。
そうだな、おまえの言うとおりにしよう。

とめどなく涙が溢れ出した。

はるか上空から落ちてくる雨粒が顔に降りかかり、僕の流す涙と混ざり合って、地面へと浄化していく。
< 229 / 230 >

この作品をシェア

pagetop