初恋+one
似ているわけじゃない。
でも、どこか似てる。
でも似てない。
それを証拠に貴大とか、
同じ中学だった奴が似てると言ったことはない。
単なる俺の思いすぎだ。
でも俺は、あかりと話をしてみたい衝動に犯された。
やっぱりあいつに似てると思ってしまうから。
結局のところ、
俺はまだあいつを忘れてなかったって訳だ。
あかりの席が後ろな事を理由に、
俺はいつだってあかりに話し掛けた。
授業中だったらあかりは鬱陶しそうな
顔したけど、俺は構わず話し掛けた。
そんでしばらくすると、
俺はあかりのどこがあいつに似てると思ったんだ?
そう思うようになった。
あいつは、
控えめな性格で、
あとから3歩下がって付いて来るってイメージだった。
話し方もおっとりしてて、
怒ったとこを見たことなかった。
「バカ」なんか、絶対言わない。
それに比べてあかりは、
3歩下がってついてくるどころか、
俺の3歩前を歩きやがる。
でかい声でガンガン喋って、
怒られない方が少ないくらいに怒ってる。
「バカ」はあかりの決め台詞だ。