キミと、世界の果てまで。



翼に見とれるあたしをチラ見したレンは、自分の翼を優しい手付きで触りながら、今では灰色の景色と化している森を人差し指で示した。




「俺がミライと一緒に飛べばいいだろ?」



「一緒に飛ぶって…」



「こういう事だよ」




その言葉と共に、レンは軽々しくあたしを持ち上げ、いわゆる「抱っこ」という体勢に入る。



…また激しく胸が鳴る。

初めて出会った時もこんな状況になったが、今の胸の鼓動は何かが違う気がする。



鼓動のリズムが、とてつもなく早い―――




「よく俺に掴まっとけよ、ミライ」




あたしがギュッとキツめにレンの首に腕を回したのを確認すると、レンは近くの窓を思いっきり開けて、


勢いよく、朝の町の中へと飛び出していった。




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