愛して欲しいなんて言わない(番外編)

見合い話

「そろそろお前には見合いを
してもらおうか」

久々に本宅に呼び出された俺は
父親に開口一番に言われたのが
見合いだった

うざっ
…ていうか教師になった
俺にまだ期待していたとは…


正直、驚いた

すっかり
家から遠のいてた親父だった

鈴子さんの話によれば
子を産めない体だと知った母親には
愛想がつきたらしい

新しい若い愛人のマンションに
入り浸りだとか

その女と後継者を産む計画でも
していると思っていたら

まだ俺に期待してたのか

「見合いはしねえよ」

「いや、するんだ」

小冊子をどさっと
俺の前に投げた

見合い相手の女が
わんさか映っているのだろう

手に取る気にもならない

「嫌だ」

「お前に拒否権などない
全ては私が決める
だが相手だけは選ばせてやる」

迷惑な話だ
面倒くさっ

「相手は誰でもいいのか?」

「写真にある女ならな」

「条件つきかよ」

俺はとりあえず写真を見ていく

どれも気にいる女はいねえ

写真をテーブルに投げると
ため息をついた

「いないならクレアに決まるが?」

クレアに?
絶対に嫌だ
あの女は大嫌いだ

体と金でどうにかなると思ってるのが
気に入らない
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