ヒサイチ

「ヒサイチ君かな?すばしっこかった・・・」


「すばしっこかった?」


ヒサイチは薄い瞼を少し吊り上げて聞き返した。


「小さくてすばしっこかった・・・よね?」


私は自信なさ気に小さい声でもう一度聞き直した。ヒサイチは目を半開きにして、変な物を見るような目で私を見た。


そして言った。

「お前変わってないな。相変わらず変な雰囲気かもし出しているな」


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