ヒサイチ

色々憶測してもヒサイチの考えている事は見当が付かない。


元から理解できない種類の人間なのだから、いくら考えてみたって私にはヒサイチの頭の中は読めないだろう。

私は昔から自分の理解できる範疇のものにしか寄り付かない。


想像や理解を超えるものには安心感が伴わない。


だから私はヒサイチが苦手だったのだ。


少し前の私なら駆けて逃げてでも、ヒサイチとこんな距離にはいないだろう。


きっと車に乗るように言われた時点で誤魔化して逃げていた。

< 40 / 181 >

この作品をシェア

pagetop