ヒサイチ
色々憶測してもヒサイチの考えている事は見当が付かない。
元から理解できない種類の人間なのだから、いくら考えてみたって私にはヒサイチの頭の中は読めないだろう。
私は昔から自分の理解できる範疇のものにしか寄り付かない。
想像や理解を超えるものには安心感が伴わない。
だから私はヒサイチが苦手だったのだ。
少し前の私なら駆けて逃げてでも、ヒサイチとこんな距離にはいないだろう。
きっと車に乗るように言われた時点で誤魔化して逃げていた。