ヒサイチ
子供の時から注目され続けてきたヒサイチには、ファミレスで数人の視線にさらされることなんて、どうってことないことなのだろうか?
ヒサイチは煙草を一本吸い終わってから、大きなあくびを一つして
「ああ、さすがに眠いな。徹夜で運転すると」
と言った。
「徹夜?全然寝てないの?」
びっくりして私は聞き直した。
「ああ、昨日の夜、大阪を出て、さっき着いたから」
ヒサイチはもう一つあくびをして首の後ろをぼりぼりと掻いた。