ヒサイチ
「まあ、山椒魚はインパクトあるよね」
「ところがさあ、煮たら山椒魚が陰も形もなくなっちまうんだって。あれってゼラチン質みたいな部分が多くて火にかけると溶けちまうらしいよ」
「えっ、味は?」
「何か他に色んな物が入ってたから味はよく分からないし、勿論誰も山椒魚に気がつく奴はいなくて、親父は何か一人で白けちまって、結局誰にも山椒魚のことは言わなかったらしい」
「じゃあ、みんな自分が山椒魚を食べたことは知らないの?だいたい山椒魚って食べていいの?」
「どうだろうな?だけど知ってればこんな風に水族館なんか行った時に『俺、山椒魚食べたことあるんだぜ』って一緒にいる奴に自慢できるのにな。親父も教えてやればよかったのに」