ヒサイチ
「でも、後から言われたらちょっとウェってならないかな?」

「もう食っちゃたものは同じなんだから、話のタネが一つ増えた方がいいじゃないか」

「そっ、そうかな?」

館内を廻りながら、ヒサイチは『マンボウは酢味噌で食ったら結構美味しかった』だの『深海魚なんてほとんどは食えたもんじゃないけど、ミズウオは結構いける』だの魚を見ながら食べる話ばかりしていた。


私は少し呆れて

「寿一君にとって魚って観賞するものじゃなくて、食べ物なんだね」

と言うと

< 71 / 181 >

この作品をシェア

pagetop