ヒサイチ
ヒサイチは私を元気付けようとしているのだろうか?


彼の言っている事は正しいかもしれない。


だけど私は呟くように言った。

「違うかもしれない」

「何が?」

怪訝そうにヒサイチが聞き返した。


「そうじゃなくて、愛し合っていなかったのかも」

「何だよ、それ」

「七年間、愛し合っている振りをしていたのかも。でなければ私だけが幻想を抱いていたのかもしれない」

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