ヒサイチ

ヒサイチはわけが分からないと言った表情で、少しふて腐れたように言った。


ヒサイチが物事を判断する基準は、面白いか面白くないかということなのだろうか？


私がヒサイチの感覚を理解できないように、ヒサイチも私の気持ちが分からないようだ。


でもきっとヒサイチの言う面白いは笑っちゃうような面白さのことではなくて、おそらく夢中になるような趣のことなのだろう。


それだけは何となく分かった。


彼は趣を感じて惹かれて止まないようなことでもなければ、きっとそんな長い間、誰かに寄り添っていることはないのかもしれない。


そんな気がした。