ヒサイチ
「ねえ、どうしてそんなに色々と聞くの?普通思い出して辛いだろうから、そういう話には触れないようにするものじゃないの?」
みっともない所のほとんどを知られてしまった私は、もうどうでもいいかという気持ちが芽生え、すっかりふてぶてしい物言いになった。
「何だよ。これでも気を遣いながら聞いているのに。
だいたい忘れたい事がある時は、その忘れたいことがでかければでかいほど忘れるのにエネルギーを使うんだ。するとそっちにエネルギーを使い過ぎて、他に気が回りにくくなる。
だから車にぶつかりそうになったりするんだ」