続・あなたの時計
幸せになれない… か。


部屋の窓からこぼれる薄明かりにふと目をやりながら、美羽は、るい婆の言葉を思い返していた。


あの別れたちが… 私に 告げようとしていた?


別れの訳… を?



美羽は、心の奥にくすぶり続けるこの思いに決別したい一心で、人知れず謎の占い師…るい婆の元へ通い詰めてきたという訳だ。



だから…って、いきなりインドなんて!



美羽は、微妙な胸の高鳴りに、帰り際、るい婆が言ったあの言葉に再び思いを馳せていた。



近いうちに必ず、あんたの前に黒蛇が現れるーー


これで、二度目だ。るい婆の口から黒蛇の話が出るのは…。



その時… あんたは、導かれるように着いて行くだろう。



今にも折れそうな頼り無い椅子から静かに立ち上がり、扉の向こうを指差しながら低めの掠れ声で続けた。



あんたにとって、正しく旅立ちの瞬間じゃーー。
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