続・あなたの時計
光の国へ
美羽ぅ~、起きなさい!


母の声がする。


窓からこぼれる一筋の光が、今の私には、眩しすぎた。



うーん… 眠い… 。


ゆっくり寝た筈なのに…体中の筋肉が、ぐったりしている。



~たくっ!早くしないと食べちゃうぞ~。 あなたの好きなスクランブルエッグにフレンチトーストにクラムチャウダーにその他諸々~!


ガバッ!



布団を押しのけ、軽やかに階段を降りるげんきんな奴。



おはよう、春(はる)さん。



私は、母をこう呼んでいる。



昨日も遅かったのね?


あ…あぁ、まぁね。 ちょっと仕事でヘマやっちゃって。



あら~、またぁ?



はっ…は、は。 楽じゃないのよね~ スタイリストって仕事も。



あなたは、子供の頃から頑張り過ぎるとこがあるからぁ。


春さんに似たのかな?



そうねぇ。あ、でもドジなとこは、知らないわよ。
はい、アメリカン。



ありがと。


ゆっくりと口に運ぶ… 筈が? なんだか、しょっぱい!この味って?


春さん?



え?



また、やっちゃって…
くれましたね!



彼女の癖だった。赤いビンの砂糖を塩と思い込み、青いビンの塩を砂糖と思い込む…!



あちゃー!



笑ってごまかす。これも癖だ。



~たくぅ。どこが、ドジなとこは知らないって?


ほら~、早くしないと 遅れちゃうわよ!


ごまかしたか。



春さんに急かされながらも、いつもの朝に何故だかほっとする美羽だった。
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