あかねいろ

海風


――――――――――


ザザーン…
ザザーン ザザーン。。。


『それでね…、別れを言ったの。優衣さんの傍にいてあげてって…。拓ちゃんは受験頑張ってねって…

もう連絡しないって言った。』


想いは褪せないのに、月日は出会いから2年半…


『それから携帯も解約した。親が傍に居ないからすぐ新しく買えないじゃない?連絡手段はなくなった。拓ちゃんは何度も家に来てくれてたみたいだけど、あたしあまり家に帰らなくなって…会うの避けて…それ以来会ってない…』


ザザーン…
ザザーン…


『あたしは…逃げたんだ。「迷惑かけられない」じゃない…やってた事メチャクチャだった。自分の事しか考えられなかった』


今ならよくわかる、本当に勝手だった。

本当に…


『あたし…自分から別れたのに、ずっと引きずって…。紛らすために、流されるまま遊ぶようになって…本当は無意味だって、わかってたのに…』


潮風が胸を突き抜ける…


『2年ぶりに会っちゃった。しかも学校で…おどろいたぁアハハ…ハ…』

切なく笑いながら彼を見た。


『そっか』

大斗はやっぱり、一言答える。

そしてじっと彼女を見て言った。


『俺…お前の事、知ってた…その2年前に夕陽のこと見てたんだ』

彼はゆっくりと続ける。


『事故見た…、女の子が雨の中でもわかるくらい、すげー泣いてた。さっき学校の廊下で見た夕陽とおんなじ顔で泣いてた。』


大斗…?どういうこと?


夕陽はキョトンと彼を見る。


『こんな偶然…。こないだ言った「前に見た事故」ってアレ。その時俺が見たのは、夕陽の泣き顔だ。』


うそ…


『すげー言いにくいけど、あの後、捕まって、ぼーっと警察から帰ってきて、事故の話を咲にして。平気で笑ったりしてさ。でもそれからだ…俺、暴れてもなんかどんどん虚しくなってった。』

海の遠くを見て大斗は話す。

『ゴメン、俺本当にヒネてんだ。だけどお前の泣いた顔が、ガツンと入ってさ。"自分、何してんだろう"って思った。お前のお陰なんだ…その時見た知らない誰かに救われた、それが夕陽だった。あるんだな、こんなこと。俺、マジで最悪なヤツだ…』

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