あかねいろ


恭次くんは「全く…」と話していた。

でも、優しい顔をしていた…


『だって、恭次がくれたプリンうまいんだもん♪あのチョコレートプリン♪』



あ、またチョコレート…なんだ?


クスッと笑う夕陽に「文句あるか?」と彼女を軽く大斗は睨みつける。


『でも、今回は今のところ家出してないね?』

『偉いだろ、俺♪』

『別に偉くないし…』

夕陽は冷ややかに言った。


― ― ― ― ― ―


『ただいまぁ♪』

『おかえりぃ〜』

先程同様、南深がお出迎え。


『進藤さぁん♪ご飯にする?お風呂にする?それとも…あたし…って言っイッテェッ!!!』


大斗が陽気に駆け寄るのを恭次が後ろから蹴飛ばした。


『ふざけんな大斗っ!!南深はご飯でも風呂でもなく、俺にするんだよなぁ?♪』

と大斗を押し退けて真っ赤な南深を連れて行ってしまった。


『何だよ?恭次のヤロウッ素直になった途端にベタベタだしっ』

ふてる大斗を他所に

『いーなー♪』

と思わず呟く夕陽。


『夕陽ちゃん♪じゃぁ俺にする?』

と大斗はにやにやして言った。


コイツッ…!!


ガンッ!!


真っ赤になった夕陽は恭次が蹴飛ばした所と同じ所を蹴飛ばすと

『大斗のセクハラッ!!』

と大声で叫んでドスドス家に入っていった。


いつの間にか、いつもの調子を取り戻していた大斗は

『変な女…』

と恭次のようにクックックと笑っていた。



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