あかねいろ

甘く...切なく...


―――――
―――――――


スイートブルー


『大斗、夕陽ちゃん、いらっしゃい』


マスターは優しい笑みと共にキレイな碧い飲み物を2人に差し出した。


『どうもね…しげさん…』

大斗は受けとる。

『ありがとうございます…』

夕陽も小さく言った。


『大丈夫か?』


マスターの笑みは全てを知っていると語っていた。


大斗は何も言わずに煙草を点ける。


その、少し切ない綺麗な顔に…

あたしは見惚れてしまった。

切ないよね…?大斗…



『大丈夫…だよ…』


あたしは、なんとなく…

大斗の変わりにそう答えていた。

強がりかもしれない…

でも、そう言わずにはいられなかったんだ。



『じぃ…?でも…俺、自分で思ってたより、生きれてるよ…』

大斗は小さく呟いていた。


『そうか、それなら安心だ。なぁ?大斗…それ、スイートブルーっていうカクテルだよ』


「甘くて…切ない…切なすぎて、それほど、甘い気持ち…それほど人を想う、気持ち」

…それが、スイートブルーを意味するものだったよね?

マスターの素敵な優しい想い…


『サンキュ』

大斗は笑っていた。


『大斗君?』

大斗を呼ぶ常連客、「おぉ」とそちらへ行く彼。


『夕陽ちゃん…咲が夕陽ちゃんに話したから…って聞いたよ』

夕陽は優しい顔で頷く。


『マスター?あたしね…咲さんに光輝さんの雑誌と、話し…聞いたよ…?マスターはなんだか、全てを知っている気がするから…』

それに笑顔で頷く。


『咲さんがね、雑誌のこととか、光輝さんのこと…大斗に言ってないって…あたし、雑誌持ってるけど…大斗に言うべきかなぁ…』

『夕陽ちゃんはどう思う?』


マスター…あたしは…


『あたしは…言わなくても良いかなって、思う…大斗はきっと…光輝さんの事も…咲さんの大斗を想う気持ちも…わかってる気がしてしまう…気のせいかも、だけど…』


『僕はね、夕陽ちゃんが自分で思う想いを大切にしたら良いと思うんだ。』


『そっか…そうだよね…』


夕陽はそう言うとスイートブルーに口を付ける。
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