あかねいろ

心漏れ灯


――――
――――――


次の日、大斗はだらだらと学校にやって来た。


げっ?!


教室のドアの前に話をしている夕陽と雅が見えた。

『神崎おはよー』

雅が爽やかに挨拶するが大斗はそれを無視して…


『ちんちくりん』


と嫌味っぽい笑顔で夕陽に向かってポソッと一言。

『ンなっ!!朝から気分が悪いわね!!』


ちんちくりんって、絶対あたしのちょんまげを言ってるっ?!


大斗は夕陽が噛みつくのに表情を変えず彼女をじっと見て…

そのまま向きを変えてフィッと教室に入って行く。


なんなの?アイツ…

ヤな感じ。

折角…謝ろうとしたのに…


『神崎って謎だな』

雅がポツリと言った。


『?うーん。あんなもんよ、元から。全く…感じ悪っ!!』

『そっか。難しいヤツだなぁ…。ねぇ、それでメアド教えて♪』

『あ♪そうだったね』

2人はメアドの交換をする。



!!

アイツは何をやっているんだっ!!


携帯を出している2人を見て大斗はイライラしていた。


バンッ!!


と机に突っ伏した。


何なんだよ…?!!

っあ゙ーっ!!


すると今度は立ち上がり、夕陽達が居るドアではないほうから教室を出て行く。


あ!!


『ごめん!!戸塚くん!!』

廊下を行く大斗を見つけて夕陽は追いかけていく。

彼はスタスタ歩いて屋上に向かっているようだ。


『ひろとー!!』

しかし夕陽の呼び掛けは無視。


き…機嫌悪い…

でもでも無視しなくてもいいじゃない?!!


夕陽は屋上のドアの前でやっと大斗に追い付いた。

『待ってよ!!』

『何?』

夕陽に腕を掴まれて、大斗はやっと振り向いた。

トーンの低い声で言う。


もうやだ…

何か泣きたい…


『ゴメ…』

『何が?』


あたしが…やっと絞り出した言葉は…

あっさり冷たく返されてしまった…。

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