あかねいろ


その時−



ぶぅゎぁぁぁーっ


強い風が吹いた…−


それに乗って屋上まで上がって来た桜の花びらが


ハラハラと舞い落ちて来た


『わぁ』


思わず声を上げた。


『雪みたい』


ハラハラハラハラ薄い桃色が降り注ぐ―



大斗は空を見上げる夕陽を柔らかい表情で見つめていた。


『綺麗…』


「こんな雪の日はね、何か新しい事が起こるんだ。粉雪が瞳に見えない"何か"を運んでくる。その"何か"を見つけられるかは自分次第なんだよ。」


しげさんが言ってたって…前に大斗が…


何だか、あの日の粉雪みたい…



"何か"…?

"何か"を…


その風は、とっても暖かくて、

優しい優しい春の風だった…


『『粉雪…』』


大斗とあたしの呟きが重なった…


大斗は、何を思ったのかなぁ


あたしは…





< 331 / 469 >

この作品をシェア

pagetop