魔王さま100分の1

シルキスは、手をとって考える。

(誘ったのはいいけど、ふたりで出来る踊りなんて知らないな)

知っているのは、大勢で火の周りをくるくるするやつだけ。

手を重ねた魔王さまは、最初はワクワクと。

だんだん半眼に。

「勢いだけで誘ったのか?」
「流れで出来ると思ったのですが」

「だらしない」

言って、魔王さまは両手をシルキスに差し出す。

「ほら、抱き上げろ」
「こうですか?」

脇の下に両手を入れて、高い高いするシルキス。

「違うっ、おまえが初めてここに来たときにした抱き方だ」

「ああ、こうですね」

それはお姫さま抱き。

最初はこれで、がーがー文句を言われながら魔王さまを地下から引き上げた。
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