魔王さま100分の1
見上げれば、星が綺麗。

焚き火から上がるうすい煙が、
天上の星河にとけていく。

「きれいですね」
「なにが?」

「星です」
「そうか、良かったな」

魔王さまは、星には無関心で口から魚の骨をとっている。

かわいい服に興味を示す一方で、こういう自然美には目を向けない。

人と魔王の感性の違いか?
それとも単純な個性か?

ここで、魔王さまはもっと綺麗ですと言ったらどうなるか?

シルキスは考えてやめた。
代わりに肉をどんどん乗せる。

「たくさん食べてくださいね。魔王さま」
「言われずとも食べる。遠慮しない」

食事のときは、食事に専念させるのが一番だ。
シルキスは心のメモに記録した。
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